天使と心と人間と

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ハルの死亡予定日まであと一週間。あと一週間でハルは死ぬ。来週の大会へも出られない。 「…嫌だ。」 短い間だったけれど。私はハルが必死に頑張る姿をずっと見てきた。 「嫌だよ、ハル…」 せめて大会には出させてあげたい。 「居なくならないでよ…」 いや…何より私は、まだハルと一緒に居たいと思っている。思ってしまったのだ。 「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」 ―――その日私は、禁忌を犯す。 「ただいまより、元上級天使・ユヒナの天界裁判を行う。」 裁判長の声が静かに響き渡る法廷で、私はぼうっと立っていた。 「彼女は…余命の少ない人間の寿命を、多い者と入れ替わるように記録の改ざんを行った!」 その言葉に、傍聴席はざわつく。 「まだ若いが非常に優秀な天使であったが故に、上からの信頼も厚かった。だからこそ記録に手を出せたのだが…なぜ、昇進も、上からの信頼をも裏切ってまであの人間を助けた?」 なぜ?…その言葉に、思わず笑いがこみ上げてくるのを必死に抑える。 そんなの、決まってるじゃないか。私はハルが好きだったのだから。陸上と真摯の向き合う彼女の手助けがしたいと思ったんだ。 しかし、感情を持たない天使連中にいくらそんな事をいっても埒が明かない。 「…申し訳ありませんでした。」 結果として、私は堕天使への降格を命じられ、天界からの追放は免れた。ノエル先輩を筆頭とする先輩天使達が、上に必死に掛け合ってくれたからだ。こんなに良い人達を裏切ってしまったと思うと心苦しい気持ちでいっぱいだ。 でも、後悔はしていない。 堕天使への降格のより、上級天使の部屋からも移動することになった。出ていく直前、私は鏡を使って人間界を見た。 ―――そこには、笑顔でメダルを掲げるハルの姿があった。 iPadから送信
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