ごふくを義兄弟に

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「ああ霧子さん、ただいま。オトンまだ帰って……」 霧子さんの影から顔を出すと同時に目が合う。 頬をほんのり赤らめ、目を見開いて固まったのは『やくふご』の店長の息子、そして店長代理をつとめる三ヶ栄(みかえ)惣七(そうしち)さん。 勝色(かちいろ)と呼ばれる、黒色に見えるほどの暗い藍色の色無地の着物と同じ色の羽織、黄土色と薄茶色の縞模様の角帯を合わせた姿の三ヶ栄さん。 相変わらず格好いい、なんて頬を熱くしながら見惚れていると、霧子さんが大げさに咳払いをした。 私と三ヶ栄さんはお互いに目を合わせて苦笑いを浮かべる。 「あけましておめでとうございます、天音さん。今年もよろしくお願いします」 「よ、よろしくお願いします」 小さく頭を下げると、目を細めて優しく微笑んだ三ヶ栄さん。 「惣ちゃん、そろそろお雑煮温めてええ?」 「うん、お願いなあ」 三ヶ栄さんの手から茶菓子の入った袋を受け取った霧子さんはいそいそとバックヤードへ引っ込んでいく。
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