2nd BASE

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「京子ちゃん、野球部見に行こうよ」  入学式が終わり、私は早速野球部の見学に行くことにする。京子ちゃんとは同じクラスになり、正直かなりほっとした。 「相変らずやる気満々だね。でもウチ、まだ入るって決めたわけじゃないんだが」 「良いじゃん、行こうよ。別に入部するわけじゃないんだしさ」  渋った顔をする京子ちゃんの肩を揺らし、私は何とか一緒に連れていこうとする。実を言うと、一人で行くのは非常に心細い。怖い先輩とかに捕まったら嫌だし。 「入部するわけじゃないって言うけど、こういうのって、行ったら確実に入部させられる流れに持っていかれるでしょ」 「そんなことないって。ほんとに見るだけだから」 「し、信用ならない」  中々首を縦に振ってくれない京子ちゃん。そこへ、一人の女子生徒が声を掛けてくる。 「陽田さん、どこか部活見に行くの?」  女子生徒は既に京子ちゃんと仲良くなっているみたいだった。私と同じくらいの背丈で、左右にバランス良く跳ねた髪が、雄雄しくも可愛らしい。 「えっと……」  私は困惑気味に女子生徒の顔を覗く。すると京子ちゃんが名前を教えてくれた。 「(かさ)()(はら)さんだよ。笠ヶ原(さち)さん。ウチの隣の席なの」 「祥で良いよ」 「そう? ならウチのことも京子で良いよ」 「分かった。それでそっちの子は……」  祥ちゃんが私の方を見る。すかさず私は自己紹介した。 「あ、私の名前は柳瀬真裕。京子ちゃんとは幼馴染なの。よろしくね、祥ちゃん」 「そうだったんだ。こちらこそよろしく、真裕」  私は祥ちゃんと握手を交わす。祥ちゃんは女子にしては落ち着いた声色をしているからか、他の人たちよりも高校生として相応しい雰囲気が出ている。 「私たちは今から、野球部の見学に行くつもりなんだ」 「ウチはまだ行くって決めてないんだけど」  京子ちゃんは(しか)め面で私を見る。
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