2nd BASE

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「野球部に入りたいってことは、真裕はマネージャー希望なの?」 「違うよ。私たちが見に行くのは女子野球部。選手として野球をやるの」 「へえ。女子野球部なんてあるんだ。知らなかったよ」  祥ちゃんは口でほの形を作る。全国大会でベスト八に進んだといっても、まだまだ女子野球自体が盛んでないこともあり、どうやら部の存在もそこまで知られていないらしい。 「けどなんだか面白そうだね。私も付いていっていいかな?」 「全然構わないよ! 寧ろこっちからお願いしたいくらい」 「ほんとに? 嬉しいなあ」  祥ちゃんは腰に手を当て、白い歯を見せる。ところがそこに、京子ちゃんが横槍を入れる。 「祥、気を付けて。安易な気持ちで付いていったら、その気がなくてもあれよあれよという間に入部させられるよ」 「ちょっと京子ちゃん、そんなことないって言ってるでしょ」  私と京子ちゃんのやりとりを見て、祥ちゃんは柔らかに目を細める。 「あはは。でもそれならそれで良いかな。高校生になったことだし、何か新しいことを始めてみたいと思ってたんだ」 「そうなの? よし、そうと決まれば早く見に行こう!」  私は祥ちゃんの腕を取り、意気昂然(こうぜん)と駆け出す。 「わっ! いきなりは危ないって!」  私の走り出す勢いに押され、体が前のめりになる祥ちゃん。咄嗟に右足を前に出して踏ん張り、体勢を立て直す。 「ごめんごめん。張りきり過ぎちゃった」 「もう、気を付けなよ」  祥ちゃんに怒った様子はなく、口元も軽く緩んでいる。 「気を取り直して行こうか」 「うん。京子ちゃんも早く来なよ」  私は手を振って京子ちゃんを呼ぶ。 「はあ……。しょうがないなあ」  京子ちゃんは額に手を当てる。だが少ししてから、私たちの後を追って歩き出した。
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