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(数日後 大輔が昔入院していた病院)
(主治医と仁が2人で話している)
医者:「脳の精密検査には異常がないので、本人の話を聞く限り、記憶と関係があると思います。」
仁:「やっぱり…。」
医者:「無理に思い出そうとして、記憶に触れる度に負荷がかかっていたんでしょう。
車の写真で、事故のことが引き金になって思い出されたのだと思います。」
仁:「それで、これからどうしたらいいんですか?」
医者:「できるだけ思い出させようとしないことですね。あなたは事故の関係者でもありますし、少し距離を空けてみるのもいいかも知れません。」
仁:「距離…。」
医者:「物理的に距離を置いたり、精神的に負荷がかからないよう過去には触れず、付かず離れずの距離感といいますか…。
今はまた倒れたりしないように、負担を軽くしてあげることです。」
仁:「はい…。」
医者:「お辛いかも知れませんが、なにが患者さん本人に取って最適か考えて見てください。」
(仁の家)
仁:「距離…か…。
やっと大輔を取り戻したのに、また離れるのか…。
大輔にとって最善の方法か…。」
(奇跡に近い大輔の回復に暗雲の兆しが見え始め、仁にとっては過酷な決断を迫られることとなった。)
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