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(翌日 都内のカフェ)
大輔:「え?」
仁:「だから、しばらく会えない。」
大輔:「どうして?俺なんかした?」
仁:「そうじゃねーよ。
この前も言ったけど、店のNo.1奪還するために少しばかり無理が必要でな。時間が取られると思う。」
大輔:「なら、今月終わったら会えるんじゃ?」
仁:「無理させた客にはアフターフォロー入れなきゃいけねーし、No.1を取ったやつはそれも見越してさらに追従をかけられるくらいのやつだ。だから来月も気が抜けねぇ。
クリスマスやカウンドダウンイベントもあるかもしれねぇし、バレンタインにホワイトデーと、冬は目白押しなんだ。」
大輔:「そっか。
せっかく思い出しかけてたから、もっと思い出したいと思ってたけど、仁の仕事が忙しいなら、邪魔にならないようにする。
でも仕事前や仕事終わりの1時間でもいいから、たまには会いたい。」
仁:「そうだな。考えとく。」
大輔:「…やっぱり俺が倒れたことで俺が重くなったとかあるのか?」
仁:「ばーか。俺がお前を重荷に思うわけねーだろ。お前は第一優先だが、九十九には世話になってるし、店が1周年を迎えるまでは皆の結束を固めたい。
なにせ俺は一応『相談役』って特別な役職を貰ってるからな。
お前ならわかってくれると思ったんだ。」
大輔:「わかった。仁が俺のことを買い被ってくれてるということにして、理解しとく。
仕事頑張ってな!」
仁:「おう!未来の結婚資金貯めてくるぜ!」
大輔:「け、結婚資金て!」
仁:「俺はそれくらいお前のことを思ってるってことだ。」
大輔:「ありがとう。」
(仁が1人になって店に向かう途中)
仁:「あれだけ言えば大丈夫か?
だが時間稼ぎにしかならんよな。
このままフェードアウトすればいいのか?
それは期待を持たせたまま、大輔を傷つけることにならないか?
くそっ。
どうしたらいーんだよ!」
(嘘に嘘を重ね、それだけでも心にチクチクとした痛みを感じた仁は、今後の展望に期待が持てず、苛立ちを隠せずにいた。)
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