過去の欠片と、未来へのピース

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つくも:「だから、誕生日プレゼント。 ハルさんの誕生日、11月でしょ? 俺から車のプレゼント。」 ハル:「待て待て待て。 そんな高い物貰うわけにいかないだろ?!」 つくも:「うーん、一応社長なんだけどな。 ずっと前にもFXとかで億単位以上持ってるって話したじゃん。」 ハル:「それはまた別の話じゃないか?」 つくも:「あとは、運が良ければ少し割り引いて貰えるかなって。」 ハル:「つくものポスターの貼ってある店に行って…ってことか?」 つくも:「正解。」 ハル:「なら、その運良く割引して貰えたら、って気持ちだけで十分だ。」 つくも:「断る権限はありません。 俺さ…愛情…薄かったじゃん? だからまだ金で何かを買ってあげるってことでしか、表現できないんだ。 今回はたまたま車だっただけで、金額は俺にとっては大したことない金額だし、俺の宣伝してる車に乗って貰えたら嬉しいなって。」 ハル:「つくも…。」 つくも:「わかってくれた?」 ハル:「多分に納得行かない部分はあるが、そこまで言ってくれるなら。」 つくも:「んじゃ、ちょっと鏡借りるね。」 ハル:「ん?」 つくも:「カラコンとメガネくらいはしとこうかなって。目立って騒がれても、店に迷惑になっちゃうし。 あと、メガネもね。」 ハル:「準備周到だな。 俺が結局納得するって思ってたのか?」 つくも:「それくらい本気ってこと。 OK!じゃ行こっか。俺の車でね!」 (カーディーラー) 店員1:「いらっしゃいませ。」 つくも:「先程お電話した坂田ですけど。」 店員1:「お…ま…お待ちしておりました! 奥のお部屋にご案内致します! 少々お待ち下さい!」 ハル:「奥の部屋? 普通はこのロビーのテーブルで商談だよな。 やっぱり九十九って気づかれたのか。」 つくも:「んー、こんくらいの変装じゃダメか。」 ハル:「それはこれだけ大きいポスター貼ってあって、毎日見てたらな。」 店員2:「坂田様、九十九様、お待たせ致しました。私、店長の田中と申します。 奥のお部屋へどうぞ。」 ・ ・ つくも:「じゃ、最後に色は黒で決まり?」 ハル:「そうだな。」 つくも:「じゃあ、このオプションで黒の見積もり出して貰えますか? 必要書類揃えてあるんで、できれば今日契約したいんですけど。」 店員2:「九十九様のお知り合いから、お金を頂戴していいのか…。 本社に確認を取りますので、しばらくお待ち下さい。」
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