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第1話 ピエロの二人
車田寅吉は、とても憂鬱な気持ちで高校の入学式に向かっていた。猛勉強をして、やっと合格を果たした高校への入学式でありながら、その足取りは…重い。
憂鬱な顔をした寅吉には、とても仲のいい二人の幼馴染がいた。鈴木太郎と山田花子。平々凡々な二人だが、頭が悪くてワンパクな寅吉とも仲良くしてくれている大親友だ。
そんな幼馴染の一人である花子に、寅吉は告白をした。付き合ってくれないか、と。中学三年生の、春のことである。
花子からの返事は…。
「同じ高校に行けたら返事をするね」
との事。
頭が悪い寅吉にとって、花子が目指す平凡なる高校すら難易度は高い。それでも頑張って合格したのだ。そう、愛が起こした奇跡と言っていい。
…しかし、現実はそんなに甘くはなかった。入試に合格した寅吉に対して、花子の返答は…。
「実は付き合っている人がいるの…」
そう告げるのだった。
え?何それ?茫然自失の寅吉に、幼馴染で大親友の太郎がこう語る…。
「ごめん、僕達既に付き合ってて、言い出すタイミングが無くてこんな事に…」
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