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第5話 バカップル
ピエロ達は高校三年生になっていた。
夏休みになると、友達になった太郎と花子、一郎とトメ子が遊園地でダブルデートを楽しんでいた。
「で、寅ちゃんと櫻子ちゃんはどうしても来れないの?本当はトリプルデートを楽しみたかったんだけどね」
と、花子が。それに対してトメ子が…。
「すぐに喧嘩になるから、邪魔したく無いんだって。でも不思議よね、あんなにすぐに喧嘩するのに仲が良いなんて…」
一郎と太郎も同意であった。
「そうそう。毎日顔を合わせては喧嘩ばかりなのに、何故か仲が良いんだよね?」
「なんか…エロい事をしてるから仲良しだとか、言ってたけど…」
太郎の発言に花子とトメ子が頬を染める。
…きっと四人とも、凄い事を想像しているのだろう。でも、実際には違う。
寅吉と櫻子、二人が二年以上かけて築き上げた交換日記の数だけ、二人の距離が縮まったのだ。そう、二人にとって…それこそが仲良しの秘訣。
お互いに腹を割って話し合える、そんな間柄の偽装カップルは、いつしか本物のカップルへとという間柄に。
「ちょっと!なんでこんな簡単な問題が分からないのよ!」
「ウルセェな!だから人の補習なんか、手伝わなくていいから、皆んなと遊園地に行けば良かっただろう?」
「私一人で行ったら邪魔になるだけでしょうが!本当だったらトリプルデートだったのに…もう、頭の悪い彼氏だと本当に苦労するわね!」
「くそっ…まさか赤点を取るとはな…補習さえなければ、リア充をエンジョイ出来たのに…」
「は?何?私と二人でいるのが青春をエンジョイしてるとは言えないっての!?」
「…なんで補習の面倒をみてもらって、エンジョイって事になるんだよ?本当だったら…もっとこう…ねぇ?」
「何よ?言いたいことがあるならハッキリ言いなさいよ」
「…いや、やめとくよ。さあ補習補習~」
高校三年生にもなって、未だにキスすらしてない二人のピエロ。
ここから先の進展は、一体いつになるのやら…?
二人が通う堕悪緋色高校は、今日も平和だった。
fin
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