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何のことはない。幼馴染の二人は寅吉の告白の前に、既に付き合っていたのだ。そんな事もつゆ知らず、必死に猛勉強して同じ高校へと進学。薔薇色の高校生ライフが待ち受けていると思いきや…まさかの親友からの裏切り。
この余りにも酷い仕打ちに対し寅吉がとった行動は…。
「はは…は…そ、そうか…二人は付き合ってたのか…そ、そう言われてみれば二人はお似合いだね!うん、おめでとう!おい、太郎!花子を幸せにしてやってくれよな!」
本来であれば怒り、哀しみなどの感情に打ち拉がれる筈だ。それでも寅吉は必死で笑顔を取り繕う。何故なら太郎と花子、この二人は親友なのだから。
寅吉にとって何よりもの幸せは、親友が幸せになる事。だからこそ、泣きっ面を必死で隠して笑顔を作る。
…完全なるピエロだ。何とも惨めなピエロだ。それでも道化を演じ続ける寅吉。
こうしてピエロな男、寅吉は入学式に。灰色の高校生ライフが今、始まるのであった。
「新入生代表の挨拶、那須和 櫻子」
入試でトップの成績を修めた生徒が壇上にて挨拶をする。かなりの美人だ。
頭が良くて美人。所謂、リア充。頭が悪く、ピエロな寅吉とは真逆の存在だ。
…だが、何故だろうか?全く接点の無い櫻子に、どことなくシンパシーを感じるのだ。
ヒエラルキーの最上位と最下位の位置付けであるにも拘らず…。
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