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本来であれば怒り、哀しみなどの感情に打ち拉がれる筈だ。それでも櫻子は必死で笑顔を取り繕う。何故なら一郎とトメ子、この二人は親友なのだから。
櫻子にとって何よりもの幸せは、親友が幸せになる事。だからこそ、泣きっ面を必死で隠して笑顔を作る。
…完全なるピエロだ。何とも惨めなピエロだ。それでも道化を演じ続ける櫻子。
茫然自失のまま一人でトボトボと帰宅する櫻子。そこで公園に差し掛かると、三人組の男女が話をしているのが見えた。
「はは…は…そ、そうか…二人は付き合ってたのか…そ、そう言われてみれば二人はお似合いだね!うん、おめでとう!おい、太郎!花子を幸せにしてやってくれよな!」
ピエロだ!自分と同じ、ピエロがいる!櫻子の心が躍る。人の不幸を喜ぶなんて…と、思いながらも喜ぶ自分がいる。
だが、落ち着いてピエロの少年を見ると…何と無様な顔をしているのだろうか?必死で笑顔を取り繕う、余りにも滑稽な顔をしている。
そこで櫻子も自身の顔を思い浮かべてみる。必死で笑顔を取り繕う自分…いや、何とも滑稽だ。
自分も…あんな滑稽な顔をしていたのかと…更に落ち込んで帰路につくのであった。
そして入学式。首席合格を果たしたので新入生代表として挨拶。滞りなく式は終了し、そして校舎を歩いていると…なんと以前、目撃したピエロの少年がいるでは無いか!?
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