妄想

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炬燵に入っていると、何もかも忘れられる気がする。 会社であったイヤなことも、ストレスも・・・。 妄想をするともっと楽しい。この暖かい箱の中には何か毛がモコモコの猫みたいなのがいて、それであったまっているのかもしれない。 いま俺のとなりには優しい嫁さんがいて、ずっと寄り添ってくれている。(※妄想です) その嫁さんが暖かい鍋なんかを作ってくれる。鍋には高級な肉が入っていて、食べると舌がとろけるようだ。(※妄想です) おっと、妄想を私利私欲の為だけに使っている気がする。いや、妄想ってそんなもんか。 でも時々本当にその妄想が現実になったらいいと本気で思うことがある。それは本当にイヤなことがあったときとか、悲しいことがあったときだ。 帰って来て寒い部屋。冷たくなった心がもっと冷たくなって割れそうだ。つけたばかりの炬燵へ入ると、だんだん暖まってきて、五分もしないうちに炬燵の虜なのだ。 あまりに気持ちよすぎて、炬燵で寝てしまうことだってある。そして、妄想で考えていたことを夢の世界でするのだ。あんなことやこんなことを・・・。 でも、温度調節を間違えると物凄く熱くなってしまうことがある。 帰ってきたばかりの時は早めに暖まってほしくて高めに設定したけど、暖まっていくうちにだんだん熱く感じられてくる。注意が必要だ。 でも、今日は低くしても熱い。何でだろう。体が冷たくなりすぎたのかな。 突如、鼻をつくような焦げくさい臭い。 あ。 炬燵つけっぱで寝てしまったのか。 そのせいで、カーペットが燃えて火事に・・・。 不覚だった・・・! 俺はもう死ぬかもしれない。 だが、最後の最後まで希望を捨てずに、 妄想をする。 隣に嫁さんがいてずっと寄り添ってくれている。 ずっと・・・ずっと・・・
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