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準備(ゼロス)
翌日からの話題は、もっぱらランバートの誕生日をいかに盛り上げるかが焦点となった。
ウェインが乗ってくれた事ですぐにチェスター経由で正確な日付がわかった。
「十二日って、一週間くらいしか時間ないか」
レイバンが珍しく真剣な顔でそんな事を言う。
こいつも時々意味が分からないが、基本的にやるときは徹底的に楽しむ奴だ。それに、ランバートの事は珍しく気に掛けている。
「ラウンジの使用許可は取っておくよ」
ボリスがやる気満々に胸を叩く。それに、俺はただ頷いた。
「どうした、ゼロス。何か気がかりがあるのか?」
コンラッドが問いかけるのに、ゼロスは苦笑した。
昨日の様子を見て、話を聞いて、ゼロスはずっと浮かない顔をしている。それを気に掛けたのだろう。
「なに? ゼロスは反対なの?」
「そうじゃない。…いや、むしろ昨日の話を聞いたら是が非でもやろうと思ったんだ」
ランバートはどこか不思議な奴だ。人よりも達観しているし、頼ってきた者に優しい。嫌な顔をしながらも誰とでも付き合い、悪乗りも楽しそうにしている。頭だっていいだろうし、容姿も能力も恵まれている。
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