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★ファウスト
ウェインからランバートの誕生日を尋ねられ、ファウストは十二日であることを伝えた。昨夜の様子が気になって経歴書を出してきたばかりだった。案外近い。
頭の痛い事は、あいつが自分の誕生日を認識していなかったことだ。話を聞くと溜息しか出ない。本当に自分に無関心なんだと思い知らされる。
「本当に、色々な意味でぶっ飛んだやつよ」
夜、シウスとオスカルに話すと彼らも溜息をついた。そして、気遣わしい目だ。
「まさか自分の誕生日を知らないなんてね。そんなのいる?」
「周囲が忙しすぎ、本人は遠慮が過ぎたんだろ」
そんな事だろうと思う。病気を誰にも言えなかった事、兄たちにも遠慮をしたこと。そんな奴だ、自身の思いを伝える事を覚える前に遠慮が先に来ているようにおもう。
「ねぇ、僕たちもやろうよ!」
楽しそうにオスカルは言ってあれこれと提案してくる。イベントプロデュースとなると一番張り切るのがこいつだ。
「よいの。こう、明るい話はいくらでもじゃ」
「だよね!」
「お前ら、ちゃんと話を聞いていたか? 当日は先約があるぞ」
「えー」
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