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不満そうな声でブーイングしているオスカルに溜息をつき、ファウストは苦笑する。やっぱり色んな事をすっ飛ばしていたようだ。
「ラウンジでやるのであったな?」
「あぁ」
「ラウンジでは、我らは遠慮した方がよいの。我らが行くと変に気を使わせる。和気藹々という空気を邪魔してはならぬ」
「じゃあ、いつやるのさ」
口を尖らせて不平を口にしているが、シウスの言うことが正解だ。せっかく楽しくしているところで悪目立ちするのは避けたい。
「幸い、奴の誕生日は安息日前日じゃ。翌日でよかろう」
「ぶー」
「オスカル、子供みたいな事を言うな」
窘めているが、シウスが「一日パーティーだぞ」と囁くと再びやる気になったらしい。
あれこれと計画しているが、流石に忙しすぎる。夕刻から招いて食事や酒を楽しもう。そういうことになった。
「いつもの酒宴と変わらない」
「ケーキを買ってやる故、そう拗ねるでない」
「僕ケーキ苦手だもん」
「我が儘言うな。一日中付き合わせると疲れるだろうが」
大体朝一で連れだしての日帰り旅行なんて体力的に辛い。翌日も仕事があるというのに。
「問題は、あやつの勘が鋭い事か。我らが動けば察するかもしれぬ」
「遠慮するだろうな」
十中八九「お気遣いいただかなくても」なんて言われるだろう。困ったように眉を下げる姿は想像に難くない。
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