お祝い

2/7
432人が本棚に入れています
本棚に追加
/41ページ
 ドゥーガルドがシャンパンを注ぎ、全員がそれを持っている。どうするのが正しいか分からないが、グラスを持って笑ってみる。それでよかったようだ。 「それでは、誕生を祝して!」 「「かんぱーい!!」」  ウェインが音頭を取っての乾杯に、全員がグラスを掲げ一口。口当たりのいいシュワシュワとしたシャンパンが喉を通り、空腹の胃が少し熱くなる。 「ほら、食べながらじゃないと酔うぞ」  ゼロスの差し出す皿には野菜と一緒にローストビーフが添えられている。食べてみるといい味だ。ソースも美味いし、肉の加減が絶妙だ。 「美味い」  呟くように言うと、ゼロスの隣でコンラッドが嬉しそうに笑い、ハイタッチをしている。 「もしかして、作ってくれたのか?」 「勿論」  当然のような言葉が嬉しくて、素直に笑みがこぼれる。誰かに作るばかりで、自分の為に作ってもらうなんて事があまりない。しかも忙しいのに、手をかけてくれるなんて。 「本当に美味いな、コンラッド。どこで習ったの?」 「騎士団に入る前、一年くらい厨房で仕事したことがあるんだ。三男だからな、家督を継ぐことはまずないから、手に職をと思って」 「続ければ良かったのに」 「それ以上に剣術が好きだと気づいたんだよ」  勿体ないと言いながら肉にかぶりつくレイバンに、コンラッドは苦笑している。 「オードブルは前に打ち上げした店のやつだよ」     
/41ページ

最初のコメントを投稿しよう!