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ドゥーガルドがシャンパンを注ぎ、全員がそれを持っている。どうするのが正しいか分からないが、グラスを持って笑ってみる。それでよかったようだ。
「それでは、誕生を祝して!」
「「かんぱーい!!」」
ウェインが音頭を取っての乾杯に、全員がグラスを掲げ一口。口当たりのいいシュワシュワとしたシャンパンが喉を通り、空腹の胃が少し熱くなる。
「ほら、食べながらじゃないと酔うぞ」
ゼロスの差し出す皿には野菜と一緒にローストビーフが添えられている。食べてみるといい味だ。ソースも美味いし、肉の加減が絶妙だ。
「美味い」
呟くように言うと、ゼロスの隣でコンラッドが嬉しそうに笑い、ハイタッチをしている。
「もしかして、作ってくれたのか?」
「勿論」
当然のような言葉が嬉しくて、素直に笑みがこぼれる。誰かに作るばかりで、自分の為に作ってもらうなんて事があまりない。しかも忙しいのに、手をかけてくれるなんて。
「本当に美味いな、コンラッド。どこで習ったの?」
「騎士団に入る前、一年くらい厨房で仕事したことがあるんだ。三男だからな、家督を継ぐことはまずないから、手に職をと思って」
「続ければ良かったのに」
「それ以上に剣術が好きだと気づいたんだよ」
勿体ないと言いながら肉にかぶりつくレイバンに、コンラッドは苦笑している。
「オードブルは前に打ち上げした店のやつだよ」
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