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ごもっともなレイバンの言葉に、全員が口を閉ざす。一番大事な大前提を忘れていたようだ。
ふと、ランバートは考える。というよりは、思い出している。そして自信なく手を上げた。
「多分、俺六月生まれだ」
「…へ?」
もの凄く遅れて全員が首を傾げる。何かおかしかったのだろうかと不安になるくらいだ。
「待てランバート、多分ってなんだ」
額に指を当ててゼロスが問う。全員がそれに頷いた。
「いや、祝った記憶が曖昧で。日にちは覚えてないしな」
「自分の誕生日を覚えてないなんてあるのか?」
レイバンまでもが「おいおい」という様子で口元を引きつらせている。
だがそう言われても本当なのだ。六月に祝ってもらっていたように思うが、日にちはまちまちだった。なんせ忙しい人達だ、予定を合わせる事がそもそも難しい。
「うちの家族それぞれ忙しくてさ。親父からはカードが送られてくるだけだし、母は思い出したように帰ってきて山盛りのプレゼント置いてくし、兄貴達も日程合わないからバラバラに祝ってくれるくらいで」
なんというか、場が静かになってしまった。
多分自分が常識外なんだと思う。騎士団に入って、ゼロス達と話すようになってそういう事が如実になってきている。
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