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突然ガシッとレイバンが抱き寄せてくる。ボリスの目はウルウルしているし、ゼロスとコンラッドは気遣わしい目だ。そしてなぜかドゥーガルドが泣いている。
「なんて不憫な奴なんだランバートぉぉぉ!」
「え? あぁ、いや……」
「もう、本当に甘えベタなんだから。それ、普通もう少し擦れていい話だよ」
「え? えっと……」
「確かに毎年こんなんじゃ、日にちまで認識してないな」
雄叫びのようなドゥーガルドの声に周りも驚いたらしい。そこに抱きつかれているランバートだ。当然何事かという話になる。
「どうしたの?」
「おい、なんか問題か?」
「楽しそうですねぇ」
ラウンジにいたウェイン、グリフィス、オリヴァーが近づいてくる。心配そうなウェインに視線だけで助けを求めてしまうくらい、現状が理解不能だ。
「ランバートったら、自分の誕生日が分からないなんて言うもので」
「自分の誕生日が分からない?」
目を潤ませたボリスが困ったように言うと、ウェインがそれを拾ってくる。グリフィスとオリヴァーも互いの顔を見て、困惑した顔になった。
「ランバート、どうして自分の誕生日が分からないのですか?」
「同じ日に、家族全員に祝ってもらった記憶もなくて。みんな都合のつく日に言ってくるし、それも毎年違うから認識が薄いんです」
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