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正直あまりこだわった事がないからこうなっている。一応祝ってくれるし、忙しい事情も分かっている。無理を言うほど子供でもないから、素直にその気持ちだけを受け取っていた。
だが、一般的にはそうではないようだ。優しい上官がボリスと同じように目を潤ませて、首に抱きついてきた。
「ランバート不憫だよ! どうして平気にしてるの!」
「いや、だって……」
最初からそうだから、平気もなにも。
「ちなみにお前、今年何歳だ」
「二十歳ですね」
「節目だろうが!」
グリフィスにまで言われてしまう。ちなみに首に抱きついたウェインは既に泣きそうだ。なぜかその頭をランバートがよしよしと撫でている。
「よし、ランバートの誕生日をみんなで祝おう!」
ボリスが決めたように言う。それに、他の全員も強く頷いている。
置いていかれたのは祝われるランバート。口を挟む暇もなく、あれよあれよと話が決まり、最終的には「当人はお断り!」とラウンジから出されてしまった。
「…これって、俺が祝われるんだよな?」
すっかり気持ちは除け者だ。ちょっと寂しくなってくる。
「修練場行くか」
少し体を動かして寝よう。そう決めて歩き出し一階へと向かうと、そこでファウストと出会った。
「ランバート?」
「ファウスト様、お疲れ様です」
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