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「ゼロス達が祝うって騒いでます。俺には当日まで秘密だって」
「それで拗ねていたのか」
「拗ねてなんて!」
「抜け者にされて、拗ねたんだろ?」
おかしそうに笑われると反論できない。そう、拗ねたのだ。なんだかとても寂しかった。
「お前を楽しませたいと思っているんだ、少し我慢してやれ」
「別に、俺が頼んだ事じゃ…」
「素直に喜べ。お前が仲間に受け入れられた証拠だ」
「酒の肴に特別なご馳走が欲しかっただけですよ」
「だとしても、根底には祝福があるんだ。可愛くない事を言うと離れて行くぞ」
少しだけ窘められ、コンと優しく頭を叩かれる。見上げる先の瞳は柔らかく穏やかで、浮かべる笑みはどこまでも優しいものだ。
「しばらく俺が相手をしてやる。腐らず受け取れ。いいものだぞ、きっと」
「…分かりました」
さっきまでのモヤモヤが晴れる。素直に言ったランバートの頭を、ファウストが柔らかく撫でていった。
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