花冠

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花冠

 どんなに飲もうが寝るのが遅かろうが、染みついた感覚は簡単には抜けない。  朝方目を覚ましたランバートは首を振って起き上がった。頭痛などもなく、楽しかった気持ちのままに良い夢が見られた気がする。  井戸まで降りて水を汲み、軽く体を拭ってから着替えて修練場へ。そこには見慣れた姿があった。 「おはようございます、ファウスト様」 「おはよう。昨日は楽しかったか?」 「はい、とても」  素直に笑い、ウォームアップを始める。組んで体を入念に解し、いつものように手合わせをする。素手での乱取り、剣での試合。  これも最近変わってきた。手ほどきのような手合わせは影を薄くし、強い当たりや鋭い太刀筋が増えた。そのくらい踏み込んでも大丈夫だと思ってくれたのだろう。 「有り難うございました」  修練を終えて一つ礼をする。それに応じたファウストも「強くなったな」と言って笑っている。 「ランバート、この後用はあるか?」 「え? いいえ」 「それなら、少し出ないか。気晴らしに少し離れた場所までフリムを走らせようと思っているんだ」 「いいですね」  このお誘いはとても嬉しい。ランバートもしばらく遠乗りには出ていない。  風も柔らかくなってきたし、この時期なら花も綺麗だろう。桜とは違う野花の彩りも綺麗だ。 「では、着替えて行くか」 「ご一緒します」  二つ返事で頷いたランバートは、さっさと着替えて馬房へと向かった。
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