小話①

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俺が迷っているのには理由がある。 一つ目は、今日は大晦日だって言うことと、 二つ目は… 「あーもうめんどくさい!」 今日の俺、くどい! うざい! めんどくさい! ブーたれていると、耳元で何かがピロンと鳴った。 「ふああっ」 び、びっくりした…。 その音が洗濯機の音じゃないことに安心しつつ、画面を覗き込む。 『今、何してる?』 な、ナイスタイミング……すぎて怖い。 何ともタイムリーな偶然に思わず上半身を起こす。 おそるおそるスマホを操作し、しばらく何と返事をしたものかと考える。 だって、会いたいって思ってたところだったから。 うーんと首を捻っていると、またまた狙ったようなタイミングで今度は電話がかかってきた。 これはもう…バレてるな。 観念しながら電話をとると、すぐに声が聞こえてきた。 『おはよ。光希』 「お、おはようございます…クリス」 『寝起きじゃないよね?』 「うん…」 『そんなことだと思った』 この察しのいい男。 本名(?)は栗山傑。 俺たちはクリスって呼んでる。 一応…両想い。 こんなダメダメな俺にもすっごく優しくて、紳士みたいだけど、実はドSで怖いらしい。
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