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「まったくよ~どうしてこうも上手くいかないのかね~」
寂れた客が少ない深夜のバーに自分の声はやたらよく響いた。カクテルが入ったグラスを片手に顔をテーブルに沈める。
「まあまあ、イイじゃないですか。センシュにはあたりはずれがあるもの。ライネン、セイコウすればイイじゃないですか」
同僚のルイスが僕の背中を叩きながら笑顔でそう言った。確かにルイスが言っていることはその通りだが、僕はその言葉を聞くことが出来なかった。その理由は……
「だってよ~ルイス。僕は現役時代、対して成績を残せなかったし、今までだって一年以上在籍した外国人はいないしよ~次ダメなら僕クビだよ~」
そう、僕は大学時代に身に付いたスペイン語と通信教育によってうろ覚えの英語によってプロ野球の国際スカウト部にプロ野球人生3年で戦力外になって転身した紛れもない恩情で拾われた身。来年、失敗したらクビは避けられない……どうしよう。
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