第一話 掘り出し物はドミニカに

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 翌日、いまだ時差ボケが完治してない僕はタクシーを使ってウインターリーグが行われている球場にやってきた。初めて来たドミニカの球場はまるでプロ野球の二軍球場を想起させるような簡素な造りが印象的だった。  チケットを買い、バックネット裏の特等席に座り込んだ。試合は夜から行われるとあって、4時の時点でまだ観客席には空席が目立つ。だが、スカウトにとってこの時間はとても貴重だった。 カン!ポン!スポッ!  球場に流れる大音量のラテン系ミュージックの中に乾いたこぎみよい音が入ってくる。そして、僕は選手たちが音楽に合わせて気持ち良さそうに守備練習をしている様子を観察していた。今のうちに注目選手を見つけなければ!  それから一時間後、一通りの守備練習を見終えあらかじめに持ってきた選手資料を眺めることにした。はぁ……やっぱり……僕は選手資料を見て溜息を吐き出した。僕が目を付けた選手は全員3Aの契約済みだったとわな……
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