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そのワガママに喉がごくりと何かを飲み込む。そして、ゆっくり丁寧に君の肌に吸い付くと、眩暈がするほど、ゾクゾクした。
「伊都、キス……あっ、やっ……ン、ぁっあぁっ」
赤い印がくっついた。普段は学校があって、どこで誰に見られるかもわからないから、そういうのはつけない。いつもは気をつけて我慢したんだ。君は俺のものっていう印。君の肌にキスをしたっていう、そこに触れたっていう印。
「も、ついた?」
「……うん」
頷くと、じっとこっちを見上げながら、まだ肌にキスの感触が残ってるのか、キスした箇所を指先でなぞって、そして、ぎゅっと俺の首にしがみ付いて笑ってる。ぶら下がって、君の重さが首にかかるのさえ嬉しいのに。そんな俺の耳元で言うんだ。
「嬉しい。伊都の、ものになれた、みたい」
「ちょ、日向っ」
いきなりの問題発言に俺は慌てて、突然、腕を掴んで引き剥がすと、びっくりしたのか目を丸くして。
「……伊」
「日向は、ものじゃないけど、でも俺のだよ」
「……」
誰にも譲る気なんてない。俺だけの、大事な人だよ。だから、そんなに感動したみたいに表情をほころばせなくていいんだ。浴衣姿を見たいっていうのも、他所に見せちゃダメって思うのも、君のものっていう印が欲しくなるのも、全部、ひとつもワガママじゃない。
「うん。嬉しい」
だから、もっとたくさん、すごいこと、言っていいんだ。
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