白と黒

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そのまま家の中に入り、来ていたスーツを脱ぎ捨てる。こんな時に脱いだ服を片付けてくれる人でもいたらいいのだが、そんな人が現れる気配はない。だけど、それを特別に悲観したことはない。 そもそも一人でいること自体好きだし、他人に気を使って疲弊するなんて御免である。それなら多少の孤独感を味わってでも一人でいることを選ぶ。孤独に対するメリットとデメリットを鑑みて自分から孤独を選んでいるのだ。 そんな言い訳みたいなことを心で反芻しながらシャワーを浴びる。それからすぐにシャワーから出て部屋へと戻る。そのまま布団に倒れこんでしまおうとしたが、机の上にある公共料金の支払い票が目に入る。 念のために期日を確認してみるが、日付は今日を示していた。見てしまった以上は払いに行かないわけもいかない。そのまま押し入れに入っているパーカーを羽織って支払いに向かう。 外に出るとさっきまで浴びていた夜の澄んだ空気が全身を包み込む。今は風呂からあがったばかりだから心地よいが早くしないと一気に体が冷えそうだ。
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