白と黒

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それからすぐに近くのコンビニに入り支払いを済ませる。そのまま早歩きで家へと戻っていく。 そして再び家の近くで少女と顔を合わせることになる。少女は先程と同様に動いている様子もなく、ただひたすらに寒さに耐え忍んでいる。どうしてずっとこの場所にいるのだろうか。 何か特別な理由があり、家に帰れないのだろうか。もしそうなら僕から声をかけた方がいいのだろうか。だけどここで僕がいきなり声をかけたら不自然じゃないだろうか。様々な憶測が脳内を行き交う。 「あの……」 僕が思考の渦に呑まれているタイミングで、突然声をかけられる。しかしその発せられた声はあまりにも弱々しくすぐにでも消えてなくなりそうだった。 「すみません、お願いがあるんですけど……」 少女が続けて弱々しく話し続ける。その消えてなくなりそうな印象は彼女にぴったりと当てはまっており、すぐに耳へとなじんでいく。 「僕に答えられるものであれば善処するよ」 僕は出来るだけ少女の不安を取り払ってあげるよう優しく声をかける。少女もそれで少しだけ勇気が出たのか、話の本質へと踏み込む。 「いきなりで申し訳ないんですけど、しばらくあなたの家に置いてくれませんか」 「はい?」 出来るだけ真摯に答えてあげようと思ったが、あまりにも突拍子もない話に思わず素っ頓狂な声が出てしまう。 「えっと、いきなりそう言われても困るな。何か理由でもあるの?」 一瞬取り乱してしまったが、すぐに冷静な声で返事をする。 「理由は色々あるのですが、お話することができません。……自分勝手なお願いがであれなんですが、しばらく理由を聞かずに家に置いてくれませんか」 あまりにも無茶苦茶な要望に思わず黙り込んでしまう。いきなり学生とおぼしき少女が家に理由も聞かずに置いてくれと言ってくる。そのシチュエーションを想定すると、どれもロクでもないことしか思い浮かばない。
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