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「あの……どうでしょうか?」
「……そんな裕福な場所じゃなくてもいいなら別にいいよ」
しかし僕は驚くほどすんなりと彼女の要望に了承した。自分でもよく分からないが彼女のことを放っておくことができなかった。そして当の本人も承認されると思っていなかったのか、ぽかーんと口を開けている。
「あの、自分でお願いがしていてあれですけど、本当に大丈夫ですか。こんな知りもしない人を泊めても」
「なんか僕が了承しなかったらずっとここにいそうだからね。見ているこっちが寒くなっちゃうよ。もう十分凍えているだろうから早く戻るよ」
僕が早く行こうと歩き出すと、少女も慌ててついてくる。自分でも驚くほど自然に人を招いている。ここまで自然に人を家に招いたのは生まれて初めてだと思う。そしておそらく、これが最後になるだろう。
それからすぐ家に着き、少女を家に招きいれる。家は当然のように散らかり放題だったが、少女が気にする素振りはなかった。
部屋にあるものを適当に端に寄せ、少女が座るスペースを確保する。それから二人で向かい合うような形で座り込む。改めて少女の様子を確認するが、やはりあどけなさが残っている。外で見ていた時は月明かりに照らされていたから神秘的に見えていただけかもしれない。こうして家の中で改めて向かい合うと、高校生にしか思えない。
「それで、どうして家に泊めてほしいかは聞いちゃいけないんだよね」
「すみません、そこは答えられるません」
「じゃあどれくらいここにいる予定かは聞いても大丈夫かな。それに泊まるつもりなのに手ぶらで大丈夫?」
「……すみません、それもどれくらいかは答えられません。あと荷物ですけど、どうにかして自分で調達します。迷惑はかけないようにします」
「うーん、それも答えられないのか。さすがに困ったな」
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