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「吏華ごめん。別れてほしい」
どうして…?
なんで…?
私のどこが悪かったの…?
どこで間違えたの…?
聞きたいことは次から次へと浮かぶのに
声にならない。
あまりにも突然すぎて涙も出ない。
「ごめん…。今までありがとう。
俺の物は全部捨てていいから。」
そう言って部屋を出て行く彼の背中を追いかけることも出来ず、ただその場に立ち尽くした…
「待って…行かないで…」
ようやく絞り出した声はもちろんもう届かない。
今頃になって頬を伝う涙を、拭うことも出来ず座り込んだ私の耳元で
「大丈夫。ここにいますから…。」
誰かの柔らかい声がした。
大きくて温かい手がそっと頬の涙を拭い、
優しく頭を撫でてくれる。
誰だろう…
目を開けて確かめたいけれど安心感と心地よさの方が勝ってだんだん意識が遠のいていく。
ふわふわとした温もりに包まれてそのまま私は深い眠りについた。
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