第1章

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2コイバナめ 私は恋をすると友達が減る。 正確には彼氏ができると友達が減る。 頭の中が彼氏のことでいっぱいになっちゃって、すべて彼氏優先にしてしまうから。 遊びからバイトまで彼氏の予定に合わせてしまって、友達と遊ばなくなり、飲み会にも行かなくなって男友達は切っちゃって、とどんどん友達みんなと疎遠になってくというか疎遠にしちゃう。 彼氏だけが大事とまではいかなくても彼氏が一番大事になる。 その恋が数ヶ月から1年程度の儚いものであっても。 彼氏わずNo.1 そう…いず、じゃなくて、わず…… 「お前さ…いいかげん学習しろよ。だから彼氏と別れた後いっつもこうなるんだろ」 いかにも面倒くさそうな溜め息をついて、面倒くさそうな声の男が言う。 「辛い。こんなに悲しいのに聞いてくれる友達がいない」 「彼氏と別れたらまた急に連絡してくるような友達とか面倒なだけに決まってるだろ」 「別れたとか言わないで」 「彼氏にフラれたら連絡してくる面の皮の厚さと図々しさが面倒くさい」 「言い直した上にダメージを与えてこないで」 「聞きたくもない話を聞いてやるだけ俺に感謝しろ」 「感謝ー」 おどけて言ったらまた溜め息をつかれた。 辛い。 万事を彼氏に合わせる私は彼氏から重いだの主体性がないだのとうんざりされてフラれる。 「なんでうまくいかないんだろ」 「相手が求めてるより多く押しつけ…与えるからだろ。水やり過ぎたらサボテンも枯れるっつの」 「サボテンって枯れるんだ。詳しいんだねー」 「うぜぇ」 「誰か紹介して」 「お前の重さに耐えられる頑丈な男に心当たりがもうねーよ」 ひどい言われようだけど他の友達にも同じようなことを言われた。 やっぱり私がヤバいのか… しょんぼりしていると、 「まぁあれだ。お前の重さも受け入れられる男、どこかにはいるだろ」 言い過ぎたと思ったのかフォローしてくる。 いい奴だ。 「まぁあれだ。枯れないサボテンもどこかにはある…かも知れないだろ」 うんうん。 溢れる愛で引かない彼氏、どこかにいてほしい。 「まぁあれだ」 うんうん。 やけにさっきから同じ出だしだなあ。 まぁいいけど。 「俺がいるだろ」 「は!!?」 思わぬところに重さに耐えられる枯れないサボテンがいたらしい。 end.
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