第1章

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4コイバナめ② 彼とあいつは仲がいい。 非常に残念だけど。 「すぐ怒るんだよな」 離れたところから私をディスってるけど、知ったことじゃない。 「ちょっと恋人っぽく言っただけなのに」 「ちょっとが大きな迷惑」 「恋人って言ったら別にheだろうがsheだろうが関係ないじゃんな」 「私はよくても現代日本はそこまでオールOKじゃないっつーの」 二人で言い合っていると、彼が心底そう思ってるに違いない声で 「めんどくせーな」 間に入ってきた。 私たち3人は仲がいい。 それこそこの半年はずっと一緒にいる。 でも、彼の言うとおり面倒くさくもある。 なぜなら。 私はあいつが好きで、あいつは彼が好きで、彼は私が好きだから。 そしてそれを三人がお互いに知ってる。 そんな三角関係。 双方向にはならない矢印なのに一緒にいると居心地がよくて、誰もが誰かがこの三角を壊すまでこのままだと感じてる。 そして私には壊す気がない。 近くて遠くて、近づいても手に入らなくて、苦しいと感じることさえ甘い。 今が不幸だとは思わない。 きっといつかどんな形にしろ終わりは来る。 誰が終わりを始めるのかは分からないけど、それまではこのままで。 できればこのままで。 叶わない恋でも報われない恋でも、私の恋は私のものだから end.
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