第1章

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5コイバナめ 古文の授業は眠い。 特に和歌。 なんとか集とか区別つかない。 でも、眠気に耐える。 「…せめて夢で会いたいものだなぁ…という気持ちを詠んだこの歌は…」 ものだなぁ、までは感情をたっぷりのせた声なのに説明する時にはもう素の声になってる。 この変化がたまらない。 イケボだよイケボ。 眠くなるくらいのスピードと癒し系イケボで、机に突っ伏して寝てしまってる人がまぁまぁ多い。 寝てても怒らない先生だからというのもある。 お昼の後とか最高に眠くなる。 私は授業を聞きながら手紙を書く。 メモ帳に。 そして、授業が終わったら教室を出た先生を目立たない場所で捕まえて、別の用事を装ってこっそり手紙を渡す。 メガネかけてて穏やかで怒らない先生が、私の勢いに負けて断れなくて困った顔をさせながら受け取る手紙は、習いたての恋の歌。 困った顔も好きですけど、よかったら笑ってくれると嬉しいです。 本気で好きなので、本気で先生が困るようなことはしません。 迷惑かけたいわけじゃないので。 片思いは許してほしい。 だから、せめてなんて言わず、リアルでも夢の中でも会いたいです。 end
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