Chapter1 『はじまりの夜』

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夏樹(なつき)はほの暗い、自分の部屋の中で、一枚の紙を片手に うつむきながら歩いていた。) (本部の高層ビル、最上階から2番目の部屋は、巨大なビルに似合わず。 小さく。 必要なシンプルな家具だけが置かれている。) (窓の外からは、街の夜景が美しい。 夏樹は部屋の電気を消していた。) (唯一の光源は、パソコンの画面だけ。 時々、夏樹の紺色の髪と、 細身のシルエットが、ほのかに浮かんだ。) トットッ 「ふぅ・・、これだけの数の欠片が、今度の街に眠っているんだ。」 トサッ (ベッドに腰を下ろした。) 「静乃(しずの)さんのデータ分析は、間違いない・・。」 「“闇化”を防げる方法が、早く見つかると良いんだけど。」 (ほのかな光に照らされた顔は、血の気が引いたように 透き通るほど、色白だった。) (目の前に迫る問題のせいもあったが、生まれつきの低体温が、 このところよけいにひどかった。) 「(ひじり)が、移動する先の街を決めたなら、 僕も早く、動きたいな。 このデータの状態なら・・。 いつ“闇化”してもおかしくない。」 「・・聖は・・。」
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