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(夏樹はほの暗い、自分の部屋の中で、一枚の紙を片手に
うつむきながら歩いていた。)
(本部の高層ビル、最上階から2番目の部屋は、巨大なビルに似合わず。
小さく。 必要なシンプルな家具だけが置かれている。)
(窓の外からは、街の夜景が美しい。 夏樹は部屋の電気を消していた。)
(唯一の光源は、パソコンの画面だけ。 時々、夏樹の紺色の髪と、
細身のシルエットが、ほのかに浮かんだ。)
トットッ
「ふぅ・・、これだけの数の欠片が、今度の街に眠っているんだ。」
トサッ
(ベッドに腰を下ろした。)
「静乃さんのデータ分析は、間違いない・・。」
「“闇化”を防げる方法が、早く見つかると良いんだけど。」
(ほのかな光に照らされた顔は、血の気が引いたように
透き通るほど、色白だった。)
(目の前に迫る問題のせいもあったが、生まれつきの低体温が、
このところよけいにひどかった。)
「聖が、移動する先の街を決めたなら、
僕も早く、動きたいな。 このデータの状態なら・・。
いつ“闇化”してもおかしくない。」
「・・聖は・・。」
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