Chapter16 『触れてはいけないもの』

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「晃君。」 (聖は、長いストールを揺らし、晃に振り向いた。) チリリッ (フェンスに。 金のアクセサリーがぶつかり、鳴った。) (晃は、黄色の光柱が消えた場所を見つめた。) (対照的な色彩の二人は、まるで、 光と影の様に、互いを引き立たせていた。) 「晃君。 僕は、さぼっているわけじゃない。」 「こうして、街全体を視野に入れて。 どう結界を張れば、効果的か。」 「深く考えているのさ。」 (言いながら、聖は左手を街並みにかざした。) (暮れかけた太陽の光に。 左手の、指にいくつもはめた銀の指輪が 時折煌めく。) 「一応、総司令官なんだから。 統括する様なことを しないとね。」 (聖の笑顔は、屋上から見える太陽を集めたように眩しかった。 聖から発する、強いエネルギーか。 それとも、光を反射する程に眩い服のせいか。 近づけば 他の全ての存在を打ち消すほど強い、バラの香水のせいか。) (力を使っている時の聖に、近づける人は少なかった。)
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