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「晃君。」
(聖は、長いストールを揺らし、晃に振り向いた。)
チリリッ
(フェンスに。
金のアクセサリーがぶつかり、鳴った。)
(晃は、黄色の光柱が消えた場所を見つめた。)
(対照的な色彩の二人は、まるで、
光と影の様に、互いを引き立たせていた。)
「晃君。 僕は、さぼっているわけじゃない。」
「こうして、街全体を視野に入れて。 どう結界を張れば、効果的か。」
「深く考えているのさ。」
(言いながら、聖は左手を街並みにかざした。)
(暮れかけた太陽の光に。 左手の、指にいくつもはめた銀の指輪が
時折煌めく。)
「一応、総司令官なんだから。 統括する様なことを
しないとね。」
(聖の笑顔は、屋上から見える太陽を集めたように眩しかった。
聖から発する、強いエネルギーか。
それとも、光を反射する程に眩い服のせいか。 近づけば
他の全ての存在を打ち消すほど強い、バラの香水のせいか。)
(力を使っている時の聖に、近づける人は少なかった。)
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