ブラックオフィスレディ 【R-18】  ep.10-1

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「隷介くんねえ、三日間引きこもって、ご飯もロクに食べてなかったんだって」 「締め切り開けたばかりですもんね。・・・そんな時にお邪魔しちゃって良かったんでしょうか」 「大丈夫!とっておきの秘薬持ってきてるから、すぐ元気になると思う」 ぱんっと反対の手でショルダーバッグを叩けば、何やら硬い物に当たった音がした。 その薄く四角いでっぱりからして、聞かずとも特効薬の成分がわかり視線を逸らす。 効果がありすぎて逆に倒れなきゃ良いけど・・・ 「そういや小雪ちゃん、今日もスーツなんだね。休日なのに」 「一応取材させてもらう身ですから」 「真面目だなあ。俺こんなカッコでどうしよ。小雪ちゃんのヒモだと思われそうだ」 苦笑する梶浦さんは、ただでさえカジュアルめな普段よりもさらにラフな格好をしていて、スーツと並ぶには確かに不釣合いかもしれない。 しかもビジネスバッグのみの私に反して、ショルダーをかけ両手に荷物を抱えとことこ歩く梶浦さんは、ヒモというより弟に見えてそう。 そういや西奴さんもはじめは大学生に見えたっけな。 今日の梶浦さんと雰囲気も似ているし、2人こそ兄弟のようだ。 類は友を呼ぶ・・・リアルすぎることわざが浮かんでしまい、頭を振って追いやる。
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