1.影踏み

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あの後家に帰った僕を待っていたのは大好きなハンバーグと茜がいなくなる話。 母さんが言うには茜の両親が離婚をしてしまい、茜は母親に引き取られることになった。それに伴い茜は母親の実家へ連れて行かれるらしい。 全部初耳だ。 ……そんな話どうでもいい。 茜がいなくなってしまう。 どうして言ってくれなかったんだ。 どうして気づけなかったんだ。 友達じゃなかったのかよ…。 言ってくれなかった茜にも気づけなかった僕にも腹が立って、大好きなハンバーグは僕の喉を通らなかった。 こんな事初めてだ。 こんな気持ちは初めてだ。 ご飯が喉を通らない事がこんなに苦しいなんて知らなかった。こんなにも胸を締め付けられるなんて知らなかった。 これが茜の言っていた恋じゃない事は分かっている。 けれどこんなに苦しい思いをするのなら、僕は。 恋なんて知らないままでいい。 この日から僕の影には君の足跡が残ったままだ。
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