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叩き割る・・・いや、たたっ斬るという表現ふさわしく、真っ二つになったクッション。
実際には本当に割れたわけじゃないけど、鞭があまりに深く食い込んだためにそう錯覚したのだ。
これこそドMが望む真の鞭打ち・・・そりゃ私にダメ出しもするよね、完全に師範の域だもん。
「どうかな」
「さ・・・さすがとしか言いようがないです。目にも止まらぬ早業とはこのことですね。まさに神業ですよ」
笑顔の奥にある威圧感への本能的な恐怖なのか、ベタな褒めちぎりを繰り広げてしまう愚かな私。
なんたって、覚醒した時の梶浦さんの厄介さは前回で身に染みているのだから。
普段の理性が失われている彼には、こちらが泣いて許しを乞うても聞き入れないだろう恐ろしさがあるのだ。
暴言の応酬が許される分、不本意だがあの眼鏡やチャラ男の方がまだマシかもしれない。
「教えてあげるからやってみなよ。隷介くん」
「はいっ!!!!」
だから彼のペースに持ち込まれ望まない展開に連れ込まれても、否定や拒絶の言葉を発するのは自殺行為だ。
自分の身を守るために誰かを犠牲にせねばならない、最低な局面。
救いなのは一つ、その犠牲とされる相手が既にシャツのボタンを全て外し、裸の胸をぐんと張っていること。
そこか、そこに食らいたいのか。
「遠慮はいりませんっ」
これを救世主からの言葉と思うことにして、恐る恐る梶浦さんから鞭を受け取る。
変な汗のせいで手がべたついているのに、握れば何故か馴染んでしまうのも改良ゆえなのか。
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