あらすじ

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あらすじ

目覚めるとそこは屋外階段の踊り場だった。 「またやってしまった……」 そう言ってため息をついたのは、都内の企業に勤める会社員、木村隆であった。 木村は酒に弱い上に、酔うとなぜか階段を上りたくなってしまう。そのため、酒を飲んだ日には21階にある自分の部屋まで屋外階段で上ろうとするのだが、上りきる前に意識がなくなり、踊り場で朝を迎えることがたびたびあった。 「今日は4階か……」 踊り場で寝てしまっていたのも今月に入ってからすでに7回目。いつもは少なくとも15階までは上っているため、昨日はさすがに飲み過ぎたのだろう。 スーツについた砂を払い、立ち上がる。 エレベーターで21階まで上がろうと思い、マンションの中と屋外階段を隔てるドアを開けようとした瞬間、ドアが開いてゴンという鈍い音をたてた。 どうやら内側から誰かがドアを開けたらしい。 「す、すみません!お怪我はありませんか!?」 木村の視界に入ったのは、笑顔が素敵な女性、山本向日葵だった。 出会いはあまりいいものではなかったが、同じマンションに住んでいるため顔を合わせることも多く、木村と山本は次第に打ち解けていった。 ある日の会話の中で、木村は山本の過去の話を聞いた。それは、小学生のときから背が高かった山本は、同級生に「向日葵の花みたいだ」と笑われたことがあり、向日葵の花と自分の名前が嫌いになったという内容だった。 その後も何度か顔を合わせる中で、木村は、山本の同級生は背が高いことをばかにしていたのではなく、向日葵のように明るく素敵な笑顔であることを褒めて笑っていたのではないかと思うようになった。そして、山本の笑顔に支えられていたこと、山本に恋をしていることに気づき、向日葵の花束をプレゼントして山本に告白することを決意する。
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