まつらう民

予言

　乳児を母親から直ぐに引き離すのは、子供を産める個体に早く発情期を起こさせる為である。
　紀元歴2039年頃から人類の変革は始まったと言われている。
　18世紀に起こった技術革新による産業革命の末、先進国から順に子供を労働力として必要としない社会が広まっていったのが原因だと言われているが、実際にははっきりとした誰もが納得出来る原因は解明できていない。
　とにかく世界を悩ませた少子高齢化社会の渦中、2039年に当時は超人と呼ばれた妊娠出産の出来る男性が誕生したのである。
　その超人が生まれる少し前には、神童が数多く生まれていた。
　身体能力が生まれつき高く知能指数も高い乳幼児達がそれまでになく多く世界中で発見され、また成長しても能力を失うことなく神童のまま成人し神人と呼ばれるようになっていた。
　だが彼らには繁殖能力がなく、その優秀な遺伝子を残すことが出来ず、一代限りの高能力者でしかなかった。
　その神人の内の一人が子宮を持つ男性を発見し研究対象とする過程で、子宮を持つ男性の排卵条件と受精条件を見つけ出した。

　現在、神人、超人という呼称は差別的だとして改められ
　神人はα、超人はΩ、それ以外のその他大勢はβと記号で表されている。

「ミズキなに見てんの？」