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「もうそろそろ来てもいい頃なんだけどねえ」
軒先で干した大根を小糠と一緒に甕に漬け込みながらウラが言う。
冬を越すための保存食を作るのに塩が足りないと。
例年ならこの時期里にはたくさんの塩甕を背負った男達がやって来る。
前回夏に来た行商隊も寒くなる頃にまた来ると言っていたのに来ていない。
俺はウラに命じられ塩を使わないで済む干し大根作りに精を出すしかない。
削るように切り出した大根を吊るして日干しにし、食べる時は水で戻して煮炊きする。
溜息をついたウラが土間に座り込んで大根を削っていた俺を見下ろし
「今夜も行くのかい?」
と尋ねて来た。
俺は顔を上げずに頷くだけで答えた。
行かないなんて選択肢は俺にはない。
俺は二日と空けずに夜這いに出掛ける。
俺が行かなければウラの前で俺を抱くとナギが言うからだ。
俺はウラに俺が女の様に男に抱かれて悦ぶ身体だと知られたくなかった。
どんなに気を散らしても俺の尻はナギの愛撫に涎を垂らすかのように濡れてしまう。
自分がΩに生まれた事をこれ程呪った事はない。
俺は望んでいないのに身体が俺を裏切り、ナギの指先が俺の肌に触れることを思い浮かべただけで
腹の底がじくりと疼きあそこが潤いを持つのが分かる。
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