予言

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 クラスにたった5人しかいないΩグループの生徒をβグループの生徒達は常に下に見ている。  Ωは産む機械。  能力の高いα達の子を唯一産めるのがΩであり、妊娠出産は出来るのに外見上は男性である為に母乳も出ず産むことしか出来ないことから  産むことだけに特化した種としてそう呼ばれていた。 「別にαになんかなりたいとも思ったことはないよ」  ただ同じ動作を繰り返すだけの超旧式ロボットの田植え再現展示を見ているα達にちらりと目をやって瑞貴はβの男児に言い返す。  クラスに10人いるα達は個々の能力は高いが協調性はない。  ああやって全員で同じ展示品を見ていても会話もなく他人の様子を気にする様子もない。  成人する頃には統率力や求心力を発揮するようになると言われているαだが、幼児の頃は一匹狼そのもので他人に興味を示さない者が多い。  群れる習性のあるβはαの周りを取り囲んでいるが、センターにいる時同様誰も視界に入れてもらえてなかった。 「行こうミズキ。あそこに綺麗な着物が飾ってあるよ」  典明が言い、瑞貴の手を引く。  赤い打掛の飾られたブースには同じΩグループの3人がいて、着物を指差して何か楽し気にお喋りしていた。 「女みてえ。キモノとかキレイとか」     
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