予言

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 βの群れから逸れて瑞貴達に構っていた男児はまた嫌味たらしく言っていたが、瑞貴は無視して歩いた。  幼児教育センターでは人類は皆平等であると習う。  だが瑞貴達は6歳にしてそれが嘘であることを知っていた。  人類を導く支配者層のα、人類の大半を占める多数派のβ、数も少なく体つきも華奢でαの子を産める以外これといった能力もないΩは  社会の最下層であると認識されていることに気付いていた。  多様性を学ぶ為に幼児教育センターでは全ての種が集められるが、初等学校からは学校も種別になり学習内容も大きく異なるという。  Ωと同じく産む性である女性は職業選択の自由があるが、Ωにはない。  Ωはαの子を産むことだけを求められる。  Ωの産む子は高確率でαで、αの優秀な遺伝子を引き継いでいる。  各国は優秀な人材を安定的に確保する為に、Ωは徹底的に家畜のように管理していた。
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