神様、一生のお願い!

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【登場人物】 坂口 翔(22) 大学生、就活中 リン  (15) 見習天使 小野聖人(22) 翔の同級生、就活中 【プロット】  目覚めるとそこは屋外階段の踊り場だった。昨日、就活30件目の不採用通知を受け、自棄酒を飲んでここで寝てしまったのだ。  坂口翔は有名な一流大学の4年生。でも高校時代の成績は中の中で、合格できるなど思ってもみなかった。  ところが入試直前に丸暗記した問題が偶然出題された上、欠員が出て補欠繰り上げ合格すると言う嘘のような幸運が重なったのだ。 その時、家族は翔を笑った──お前はもう一生分の運使ったから、この先いい事ないぞと。  確かに就活を始めてみると苦戦の毎日で内定は一本も届かない。友人の小野聖人には届いたと言うのに。  聖人は翔と同じく、やはり補欠入学した落ち零れだった為、入学当初から気が合った。 でも裏返せばそれはライバルでもある。お互いにこいつにだけは負けたくないと思っていたのだ。 そして内定一つで翔は聖人に完敗。悔しくて、徹は思わず天に向かって叫んだ。 「神様一生のお願いです! どうか聖人の内定先より少しだけ上の企業に就職させて下さい!」  その夜、翔の枕元に何とリンと言う見習天使が現れた。何でも翔の「神様一生のお願い」の呪文がリンにとって一万人目のキリ番だったらしい。だからその記念に何でも一つ夢を叶えてくれると言うのだ。  リン曰く、人間の運は数ではなく、同じ量に設定されていると言う。例えば縄跳びができるようにというお願いは1gで、一流大学入学というのは2㎏。つまりそうしないと不公平になるかららしい。 と、なると翔の運は入学と同時に使い果たしており、もう願いは叶わない筈。ただ、運良くキリ番ゲットしたお陰で、一流新聞社の内定を掴む事ができたのだ。 それなのにその直後取り消しの電話が! リンに聞けば他の天使の所でキリ番を当てた男が翔の合格を取り消したと言う。 その男とはあの聖人だった!  しかし何と、その聖人の内定も取り消されたのだ。ざまあみろと笑う翔にリンが言った。 「人を呪わば穴二つって言うでしょ? 人の不幸を願えば当然、同じ重さの罰が下るのよ」  普段は信心の気持ちなど微塵もない人でも、困った時には神頼みをする。 勿論叶うはずもない。でもそれは間違ったお願いをしてるから。 人の幸せを祈るお願いなら、神様もきっと耳を傾けてくれる筈よとリンは笑った。
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