仕方がない

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 晩秋を迎えたころ、陽が落ちるのも早く少しでも残業をすると暗くなり肌寒い。 1Kマンション内は軽い暖房で暖まるが澄んだ空気とは言い難く、あまり几帳面に整頓していない、仕事の資料なども置かれている、それが私の部屋。 就職が決まった後に親の転勤があり、私だけが残る形になり、その時そろえた家具、家電からあまり増えていないので洒落た女子部屋には程遠い。 特徴と言えば少しスペック高めのプライベートPCと仕事用のミドルノートくらいだけれど、カワイイモバイルじゃないのが私だろう。  帰宅して上着を脱ぎ少し首元を緩め、取り出した携帯を片手に通話するか悩む。 「悩んでてもしょうがないか……」 アプリを開きユーザー名、酒井春香のフレンドメモリから一ノ宮敬太を選択し通話をタップする。
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