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「消えた!?」
「貴様等は、こいつがどうやって戻ってくるか愉しみに待っているといい」
「い、い、いいかバケモノ!もし東峰くんにもしものことがあれば、このわたしが許さんぞ」
威勢よく名乗り出たのは、無辛根議員である。
空狐は鼻であしらい、球体状のその中へ消えていった。
なにがあったのです!──浅野があらわれた。
「バケモノが、このホテルの支配人を拉致して、あの球体のなかへ」
それは──キツネか?月弥が無辛根に問うた。
「そうだが、キミたちは?」
「退治屋です」
「浅野、オメェ関係ねぇだろ」
月弥が横やりを入れたが周囲の安堵が広がり、引っ込みつかなくなる。
「まいいや。報酬は800万でどうだ」
「カネをとるのか?!」
「このまま閉じ込められたままでもいいんなら話は別だが」
「背に腹は代えられン。東峰くんの命がまず先決だ」
月弥はにたりと笑った。
月弥さん!と遠くから貞吉の声がした。
「お鈴ちゃんも、あの方も、どこにもいません」
「なにッ!!?」
「まずいぞ、鈴にもしものことがあったら。・・・ここは、おれが鈴を探しに行こう。おまえはこっちを」
「頼んだぞ、浅野」
浅野は去っていった。
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