第86話 【宴《うたげ》とくしゃみ】

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    ◆   ◆   ◆ 朝焼(あさや)けとともに、長次郎(ちょうじろう)墓標(ぼひょう)(あわ)く浮かんだ。 風音は、そっと手を合わせる。 風が吹いた。 風音はすっと(まぶた)を閉じ、 ありがとう、と云った。 私みたいなものでも、明日は見れる。 明日(あした)を生きて、 人を信じて、 (たよ)って歩いていいのでありマス。 風音はぐっと背筋(せすじ)を伸ばした。 そういえば、まだ、()ていない。 それでも、 とても清々(すがすが)しい(あさ)だ。 ───了
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