第72話 【パーマの川流《かわなが》れ】

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    雷鳴とどろく妖世(かくりよ)。 “闇”が住みし洋館(ようかん)回廊(かいろう)を歩く(かげ)先頭(せんとう)十影衆(とかげしゅう)のひとり・蝠魔(フクマ)。そのうしろに異剋顛(いこくてん)幹部(かんぶ)鬼童丸(きどうまる)。つづいて冥妖(めいよう)群雲(ムラクモ)亜藺水(アイミ)がいた。 (なが)回廊(かいろう)を抜けると、玉座(ぎょくざ)に洋館の(あるじ)がどっしりと座っていた。 ───(ぬえ)である。 「ようこそ。我が館へ」 鵺は(ひとみ)微笑(びしょう)を浮かべていた。 「早速だが、時間がねえ。要点だけかいつまんでくれや」 鬼童丸が云った。 「オイ(つつ)んでくれよ鬼童」 「なんだよ蝠魔。はじめ俺らと手を組もうって誘ったのはアンタらだろ。俺たちの復興(ふっこう)は止まらねぇ。外道丸(げどうまる)さまが首領(しゅりょう)になった今、余計な誘致は足止めでしかねえんだ」 「そういってくれるな小僧(こぞう)ォ。俺と異剋顛はすでに“同盟(どうめ)”を組んでる。首領サマはそういってなかったか?」 「───」 「なァ、ムラクモさん。あんたの復讐(ふくしゅう)も、温羅(うら)遺骸(いがい)がみつかりゃあ、憎き坊主どもをかたっぱしから殲滅(せんめつ)できる」 ムラクモは、じっと鵺を見据えた。手にした波旬玉(はじゅんぎょく)をいますぐにでも開放したい気持ちもあるのだろう。  
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