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雷鳴とどろく妖世。
“闇”が住みし洋館の回廊を歩く影。
先頭を十影衆のひとり・蝠魔。そのうしろに異剋顛幹部・鬼童丸。つづいて冥妖・群雲と亜藺水がいた。
永い回廊を抜けると、玉座に洋館の主がどっしりと座っていた。
───鵺である。
「ようこそ。我が館へ」
鵺は瞳に微笑を浮かべていた。
「早速だが、時間がねえ。要点だけかいつまんでくれや」
鬼童丸が云った。
「オイ慎んでくれよ鬼童」
「なんだよ蝠魔。はじめ俺らと手を組もうって誘ったのはアンタらだろ。俺たちの復興は止まらねぇ。外道丸さまが首領になった今、余計な誘致は足止めでしかねえんだ」
「そういってくれるな小僧ォ。俺と異剋顛はすでに“同盟”を組んでる。首領サマはそういってなかったか?」
「───」
「なァ、ムラクモさん。あんたの復讐も、温羅の遺骸がみつかりゃあ、憎き坊主どもをかたっぱしから殲滅できる」
ムラクモは、じっと鵺を見据えた。手にした波旬玉をいますぐにでも開放したい気持ちもあるのだろう。
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