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第70話 【想《おも》い出《で》水牡丹《みずぼたん》】
むかし、むかし──。
あるところに、いちわの白うさぎがおりました。
白うさぎは旅がしたくて、
ある国をめざしたいとおもいました。
白うさぎは、海をおよいでいた”わにざめ”さんたちにこういいました。
「ぼくの仲間と、きみたちの仲間、
どちらが数が多いのかくらべっこしよう」
わにざめさんは、せなかをならべはじめます。
白うさぎは、数をかぞえるふりをして、わにざめさんのつくったせなかの橋をわたっていったのです。
あと一歩てまえで、”きし”にたどりつくことがうれしくなり、
「へへん、おばかなわにざめさんたち!ほんとうはこの”きし”にわたりたかったんだよ」
”きし”てまえのわにざめさんは、それをきき怒りました。
「よくもだましたな!おまえの”かわ”をひきはがしてやる」
「きゃー!たすけてー」
白うさぎさんは、とうとう、そのふわふわできれい白い毛がわを、
すべて、はがされてしまったのです───。
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