身近な悪意

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身近な悪意

年末年始に、両親に報告したい事もあって三年ぶりに実家へ帰った。 玄関に着いてインターフォンを鳴らすも、中から誰も出てこない。 家を出る前に、電話で知らせておいたのに。 俺は荷物を詰め込んだリュックに手を突っ込み、実家の鍵を探した。 ようやく見つけた鍵でドアを開けると、何故かドアが開かなかった。 もう一度、鍵を回すと今度はドアが開いた。 最初から鍵はかかっていなかったという事だ。 俺の足元にリュックから飛び出たTシャツが落ちている。 それを見て、大きなため息がでた。 「ただいま」と言って玄関に立つ俺に、「おかえり」の言葉はなかった。 昔から鍵が開いていても、家に誰もいない事がよくあった。 きっと母さんは鍵もかけずに、何処かで近所の奥さんと話しているのだろう。 俺はそのまま二階にある自分の部屋に向かった。 三年ぶりに入る自分の部屋。 母さんは掃除や換気をしてくれただろうか。 そんな事を思いながらドアを開けると、驚いた事に膝をつき上半身を押入れに突っ込んで何かを探している母の姿があった。 俺は慌てて声をかけた。 別に見つかってまずいものなんてないというのに。 「母さん、何やってるの!俺の部屋で」
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