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その愚行に耽溺していた自分を哀れに思う。 そんなことでしか自分を保てないなんて。 そんなことにしか必要とされないなんて。 その愚行はやめた。 けれど今の自分が変わったとも思えないから、未だ他者と関わるのは苦手だ。 自分がその人にとってどれほど必要なのか考えてしまう。 孝行も自分と同じなのかもしれない。 そう思い至ったら拓は孝行との距離が縮まった気がした。 逆のタイプだと思って倦厭していた部分もあったから。 当然全く同じなんて事はないだろうし、孝行はそこまで言葉にして意識していないかもしれない。 小さく感じられるその背中を見ていると、拓は何だか優しい気持ちになって大丈夫だと伝えたくなった。 拓は丸まった孝行の背中の横にそっと座り二の腕辺りに手を添える。 そして子供を寝付かせるように柔らかく叩く。 孝行は不思議なほど自然にそれを受け止めた。 夢の中のようだった。 自分がまだ大切にされていた頃、きっとこうされたことがある。 そして初めて自分に向けて発せられる拓の声を聞いた。 「嫌いじゃないよ」 優しい声。 「今までごめんなさい。懲りずにまた話しかけてくれる?ちゃんと応えるから」
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